コールセンターのVOC分析方法|顧客満足度を高める分析の基盤とは
コールセンターのVOC分析方法|顧客満足度を高める分析の基盤とは

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コールセンターに蓄積されるVOCは、顧客満足度の向上やサービス改善に直結する宝の山です。しかし、多くの現場では「データを集めているが活用しきれていない」「分析精度が上がらない」といった課題を抱えています。
その背景には、分析以前に、データ収集・管理の仕組みが十分に整っていないケースが少なくありません。VOC活動を成功させるためには、単に分析ツールを導入するだけでなく、その土台となる「システム基盤」をどう設計するかが重要です。

本記事では、コールセンターにおけるVOC分析の基本手順を整理したうえで、分析を支える「システムの基盤設計」の重要性を解説します。さらにVOCを顧客満足度の向上やカスタマーハラスメント(カスハラ)対策に活用する方法についても詳しく紹介します。

VOCとは?コールセンターにおける定義・価値

VOC(Voice of Customer:顧客の声)とは、電話やメール、チャットなどのさまざまな顧客接点で寄せられる意見・要望・評価のことです。商品やサービスに対する感想だけでなく、問い合わせやクレームも含む、顧客が企業に向けて発する「声」のすべてがVOCに該当します。

特にコールセンターは、VOCが集約されやすい場所です。応対内容に加え、通話を通じて顧客の声のトーンや話し方、言葉の選び方といったニュアンスまで把握できます。コールセンターは、通話を通じてアンケートやWebサイトの問い合わせフォームでは捉えきれない、顧客の本音や期待、不満が集まる場所だと言えるでしょう。

VOCには、顧客が企業やサービスに対して「何を期待しているのか」「どこに不満を感じているのか」といった示唆が凝縮されています。そのため、単なる応対記録として蓄積するのではなく、分析・活用することで、サービスや応対品質の改善、さらにはブランド価値の向上につなげることも可能です。こうした背景から、VOCはコールセンター運営における"副次的データ"ではなく、企業の成長を支える重要な経営リソースとして位置づけることが重要です。

VOC分析の3つのメリット|VOCは分析して初めて価値が生まれる

VOC分析は、コールセンターを「コストセンター」から、企業の価値創出につながる「プロフィットセンター」へ転換するための鍵となります。

メリット1|顧客満足度の向上

問い合わせやクレームの中には不満や不安が含まれているため、改善へのヒントにすることができます。VOCを分析することで、こうした潜在的な課題を早期に把握し、対策を講じることが可能です。

メリット2|商品・サービス改善への活用

コールセンターに集まるVOCには、日ごろ顧客が感じている不満や要望が率直に表れています。これらを開発部門や販促部門へフィードバックすることで、市場ニーズに沿った商品改良やサービス改善を進められます。顧客の声を起点に改善を進められることは、VOC分析によって得られる大きなメリットと言えるでしょう。

メリット3|応対品質の均一化

VOCを分析することで、顧客から高く評価されている応対内容・プロセスといったベストプラクティスを特定できます。これらをナレッジとして共有すれば、オペレーター個人のスキルに左右されにくい応対体制を構築できます。結果として、コールセンター全体のスキルの底上げと、安定した顧客体験の提供が可能になります。

 

コールセンターでナレッジ活用を推進するコツについては「コールセンターのナレッジマネジメントとは?成功のポイントを解説」をご覧ください。

VOCの主な収集方法

効果的なVOC分析を行うには、まずVOCの活用目的に合った方法で「鮮度の高いデータ収集する仕組み」が欠かせません。主に以下のような収集方法があります。

通話録音の自動テキスト化

コールセンターでは日々大量の通話が発生しております。そこで音声認識を活用し、通話内容を自動でテキスト化することで、大量のVOCを効率的に収集できます。

CRMに蓄積された応対履歴の活用

CRM(顧客関係管理システム)を活用し、問い合わせ内容や応対結果、顧客属性と紐づけてVOCを管理することで、「だれが、いつ、どんな声をあげたか」を多角的に収集できます。

CRMの概要や導入効果について、詳しくは「コールセンター/コンタクトセンターにおけるCRM導入の効果と成功のポイント ― 顧客体験を高める仕組みとは」をご覧ください。

定量的な調査

事後アンケートやNPS(Net Promoter Score)といった定量的な調査は、VOC収集の手段として広く活用されています。顧客満足度や推奨意向を数値で把握できるため、改善施策の効果や時系列での変化を収集できます。

VOCの代表的な分析手法

VOC分析には、目的に応じた適切な手法の選択が重要です。代表的なVOCの分析手法として、頻出単語や話題を可視化する「テキストマイニング」や、顧客の感情傾向を把握する「感情分析」が挙げられます。これらの手法を用いることで、全体傾向の把握や優先的に対応すべき課題の整理に有効です。

近年では、AIを活用した自動要約や分類技術も急速に普及しており、その効果を最大限に引き出すには、音声品質やデータ形式、管理方法など、分析の前提となる環境を整えることが不可欠です。

VOC活動を成功させるための4ステップ

VOC活動は、「とりあえずデータを集める」だけでは、期待した成果につながらないケースもあります。まずは改善サイクル(PDCA)を回すための仕組みづくりが重要です。
目的や活用方法が曖昧なままでは、VOCが蓄積されても分析や改善につながらず、形骸化しやすくなります。以下では、VOC活動を継続的な成果につなげるための4つの手順を整理します。

ステップ1|VOCの活用目的の明確化

VOCを「何のために使うのか」を明確にすることです。
例えば、「解約率の低下」を目指すのか、FAQの拡充によって「自己解決率の向上」を目指すのかによって、収集すべきVOCの内容や分析視点は異なります。目的が定まっていない状態では、不要なデータを収集してしまい、活用の優先順位もつけられなくなります。VOC活動のゴールを明確に定義することが、すべての出発点となります。

ステップ2|データ収集の仕組みの整備

VOC活用の目的に合ったデータ収集の仕組みの整備です。仕組みは「必要な情報を漏れなく、高精度で取得できること」が重要です。
通話録音や音声認識、CRMなどのツールが独立していると、分析に必要な情報を集めるだけで多くの手間がかかります。安定した音声品質や、顧客情報と紐づいたデータ管理など、「集めやすく、使いやすい」環境を整えることで、VOC分析のハードルは大幅に下がります。

ステップ3|分析と課題抽出

収集したVOCは、そのままでは単なる情報の集合体にすぎません。
テキストマイニングや感情分析などによってデータをセグメント化し、どのような不満や要望が多いのか、どの顧客層に課題が集中しているのか整理し、すべてを一度に改善しようとせず、優先的に取り組むべき課題を特定することです。

ステップ4|施策実行と効果検証

抽出した課題に対して具体的な施策を実行し、その効果を検証します。
改善策を現場へフィードバックし、応対内容や業務フローに反映させた後、結果を確認することで、施策の有効性を判断できます。この結果を次の改善に活かすことで、VOCを起点としたPDCAサイクルが回り始めます。

VOC活動は、一度きりの取り組みでは成果につながりません。目的設定から効果検証までを一連の流れとして設計し、継続的に改善を重ねていくことが、コールセンターの価値を高める鍵となります。

VOC活動を阻むシステム基盤の課題

高度な分析を行おうとしても、その前段となるデータの収集・管理・活用を支えるシステム基盤が適切に設計されていなければ、実現できません。ここでは、VOC活用を阻む「よくないシステム基盤」の共通点を整理します。

VOCを高品質に収集できていない

音質が安定しない環境で通話を録音している場合、音声認識によるテキスト化の精度が低下し、誤変換が頻発します。その結果、分析に耐えうる品質のデータが蓄積されず「量はあるが使えないVOC」になりがちです。
VOC分析の精度は、収集時点の環境に大きく左右されるため、この段階の設計不備は後工程に大きな影響を与えます。

分析・活用を前提としたデータ管理ができていない

録音データと顧客情報が適切に紐付けられていないケースも、少なくありません。特定の顧客や問い合わせ内容に紐付くVOCを探すだけで多くの時間がかかる状態では、分析や改善に手が回りません。結果として「VOCは蓄積されているが、分析に使いにくい」という状況が生まれます。
VOCは、分析しやすい形で一元的に管理されてこそ、継続的な活用が可能になります。

将来の活用を見据えた拡張性が確保されていない

AI活用やチャンネル拡大を後から検討しても、連携仕様が合わず十分に活用できない場合があります。
VOC活用は一度きりの施策ではなく、段階的に顧客行動や業務環境の変化に応じて運用方針を適宜アップデートしていく取り組みであるため、初期設計の時点で拡張性を考慮しておくことが重要です。

このように、VOC活動を阻む要因は分析工程だけに存在するわけではありません。収集・管理・将来の活用まで見据えたシステム基盤の整備が、VOCを継続的に「価値」へと転換する条件となります。

コールセンターにおけるシステム構築のポイントについては「コールセンター/コンタクトセンターのシステム再構築|運用される設計で失敗を防ぐ」で紹介しておりますので、合わせてご覧ください。

【VOCの応用】顧客満足度向上&カスハラ対策に活かす考え方

高品質な録音環境が整っていれば、VOCは顧客満足度の向上だけでなく、カスハラ対策にも活用できます。
近年、コールセンターでは不当な要求や過度な言動によるオペレーターの負担が増加しており、組織としての対応が求められています。属人的な判断に頼らない、再現性のあるカスハラ対策となる手順を紹介します。

1.記録と分析:事実に基づいた対策の土台を作る

カスハラ対策の第一歩は、事例を正確に記録し、蓄積することです。
通話内容の正確な録音とテキスト化により、問題発言の客観的な把握が可能になります。蓄積されたVOCを定期的に分析することで、発生傾向や共通パターンを可視化でき、感覚的ではない組織的な対策立案が可能になります。

2.早期発見:トラブルの兆候を見逃さない仕組みづくり

特定のNGワードや強い感情表現を検知する仕組みを整えることで、問題が深刻化する前に管理者へリアルタイムで通知できます。現場任せにせず、管理者が適切なタイミングで介入できる体制を構築することが、オペレーターの負担軽減につながります。

3.オペレーター教育:データに基づく実践的なトレーニング

実際のハラスメント事例や応対ログを活用することで、どの受け答えが適切だったのか、逆にどの対応が負担を大きくしてしまったのかを具体的に学べます。こうした実データに基づくトレーニングは、机上でルールを説明するだけの場合と比べ、対応シーンを具体的にイメージしやすく、現場で再現しやすい点が特長です。

4.カスハラの未然防止:組織としての姿勢を外部へ示す

発生傾向を踏まえて顧客向けの対応方針やガイドラインを整備し、Webサイトなどで発信することで、企業としてのスタンスを明確に示せます。これは、オペレーターを守るだけでなく、健全な顧客関係を築くうえでも重要な取り組みです。

このように、高品質な録音環境を前提としたVOC活用は、顧客満足度の向上とカスハラ対策の両立を実現します。

カスハラ対策の効率化にはAIが活用できます。具体的な進め方について、詳しくはカスハラ対策にAIをどう活かす?VOC活動へのつなげ方も紹介をご覧ください。

まとめ|VOC分析を成果につなげる鍵は「システム基盤」の設計にある

VOC分析で成果を上げるには、分析精度を左右する「データの質」と、それを支える「システム基盤の整備」が欠かせません。
録音品質・CRMとの連携・分析前提のデータ管理が不十分なままでは、どれだけ高度な分析を行っても成果は期待できません。

そして現在では、AIを活用した自動分析・自動要約に加え、カスハラ対策など、求められる要件が急速に多様化しています。こうした取り組みを継続的に高度化していくためには、将来の拡張にも柔軟に対応できるシステム基盤の整備が重要です。

岩崎通信機が提供する「VOC活用のためのシステム基盤」の特長

岩崎通信機は、豊富な導入実績を持つ音声認識ソリューションを提供しています。また、VOCの活用を推進するための、システム基盤の構築も支援しています。
コンタクトセンターの効率化、応対品質向上、顧客満足度向上につながるVOC活用環境を、ワンストップで提供します。

 

  • 高品質な音声収集:分析精度を支える録音・ネットワーク環境

音声データの収集は、VOC活用だけでなく業務効率化にも直結する重要な工程です。お客様ごとに異なるネットワーク環境や電話システムなど、さまざまな条件に最適化した収集方法をご提案いたします。

 

  • AI・デジタル対応:将来の活用まで見据えた拡張性の高い設計

VOC活用は、AI技術の進化やデジタル接点の拡大により、その重要性が今後さらに高まる領域です。多様な顧客接点データを統合し、リアルタイムで分析できる環境を整えることで、顧客の潜在的なニーズや不満を早期に把握し、サービス改善へつなげることが可能になります。
また、生成AIとの連携により、応対内容の自動要約や改善提案の抽出、データ活用プロセスの効率化・高度化を支援し、顧客体験のパーソナライズを一層加速させます。

 

コールセンターにおけるAIを活用しやすい領域については「コールセンター/コンタクトセンターのAI活用術|拡張性・セキュリティ設計が成功の鍵」をご覧ください。

 

  • トータルサポート:環境設計・システム構築・運用支援まで

岩崎通信機は、「収音設計」「システム構築」「運用支援」を一貫して提供できるトータルサポート体制を強みとしています。
VOC収集基盤となるPBXをはじめ、音声認識・自動要約などのインフラ構築、さらにそれらを活用したカスハラ対策など、実績に基づくさまざまなVOC活用手法をご提供しています。
導入後は、メーカーとの連携による継続的なサポートに加え、利用者同士が情報交換できるコミュニティのご紹介も可能です。
VOCを単なる「情報収集」で終わらせず、「企業の戦略的資産」へと発展させ、継続的な価値創出につなげる取り組みを継続して支援します。

 

岩崎通信機のシステム構築支援の詳細については、サービスページ「コンタクトセンター構築」をご覧ください。

 

【岩崎通信機の提供する音声認識ソリューション】
音声認識システム「AmiVoice® CommunicationSuite
音声ビッグデータ・ソリューション「ForeSight Voice Mining®

 

 

【事例から学ぶ】音声認識によるVOCデータ活用の考え方

VOCデータを蓄積してはいるものの、「どのように活用すればよいのか分からない」「音声認識を導入・検討しているが、自社業務にどう結びつくのか見えない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本資料では、音声認識を活用してVOCデータを業務改善に活かしている大手企業の実例をもとに、VOCの具体的な活用方法や、音声認識単体で実現できることを分かりやすく整理しています。分析ツールや高度な仕組みを導入する前に、まず何ができるのかを把握したい方に適した内容です。

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この記事を書いた人

 

 

藤井直樹

コールセンター業界で20年以上SEとして従事。
アナログ時代から今に至るまで現場に近い場所で技術の移り変わりを経験。
公共、金融業界、BPO業界の経験が豊富。

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