問い合わせ対応を効率化する方法とは?「仕組み」から考える改善の進め方
問い合わせ対応を効率化する方法とは?「仕組み」から考える改善の進め方

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問い合わせ件数が増加すると、現場に業務負荷がかかるだけでなく、応対品質にばらつきが生じて顧客満足度の低下につながるおそれがあります。
近年はチャットボットやFAQなど、問い合わせ対応を効率化する施策・ツールの採用が増えていますが、「導入したものの期待した成果が得られていない」と感じる企業も少なくありません。

 

本記事では、以下の内容を整理し、問い合わせ対応を“仕組み”から見直すための考え方を解説します。

  • 問い合わせが増えてしまう本当の原因
  • 問い合わせ対応を効率化することで得られるメリット
  • 改善の基本的な進め方
  • 継続的な改善に欠かせないデータ基盤の重要性

 

問い合わせ対応の負荷が高まってしまう構造的な理由

 

オペレーターが問い合わせ対応に追われてしまう状況は、単に「問い合わせ件数が多い」「電話が鳴り止まない」といった量の問題だけで生じるわけではありません。
多くの現場では、業務が滞る根本的な原因を特定できないまま、日々の対応に追われる状態が続いています。

多くの場合、問い合わせ対応に追われてしまう背景には、次のような構造的な理由があります。

問い合わせの全体像が可視化されていない

どのような問い合わせが、どのチャネルから、どの顧客層によって発生しているのかが把握できていないと、「何を改善すべきか」が分からないまま場当たり的な対応が続いてしまいます。結果として、同じ内容の問い合わせが繰り返し発生しているにもかかわらず、その原因に手を打てない状態が生まれます。

電話・Web・メールなどチャネルが分断されている

問い合わせデータがチャネルごとに分かれて管理されていると、全体像の横断的な把握ができません。これにより電話で多い質問がWebのFAQに反映されない、といった不整合が生じ、結果として顧客は自己解決することができず問い合わせが必要な状況に陥ってしまいます。

FAQや案内が顧客視点になっていない

Web上のFAQや各種案内が社内ルールや運用を優先した構成だと、顧客が欲しい情報に到達しづらく、結果として自己解決が難しくなります。

このような状況が重なると、同じ問い合わせが何度も繰り返されてしまい、電話件数もなかなか減らない状態が続いてしまいます。

問題の本質は「問い合わせ件数そのもの」ではなく、同じ問い合わせが発生しやすい構造にあります。

問い合わせ件数を抑えようと個別施策に取り組む前に、まずはこの構造を見直す必要があります。

問い合わせ対応を効率化することで得られるメリット

問い合わせは、顧客の疑問や不安、要望が直接届く重要な接点であり、企業にとっての貴重な情報源でもあります。

効率化によって優先度の高い問い合わせに集中できる仕組みを整えることで、より価値の高い応対にリソースを振り向けられるようになります。

コンタクトセンター側のメリット

  • オペレーターの負荷軽減

仕組みが整うことで「同じ内容の問い合わせ」や「本来は自己解決可能な問い合わせ」の比率が下がり、時間的・心理的な負担を抑制できます。

結果として、オペレーターが対応すべき問い合わせに集中できます。

  • 応対品質の安定

オペレーターが本来対応すべき重要な問い合わせに集中できるようになると、一件一件に丁寧に向き合える環境が整い、説明の質や応対の精度が安定します。結果として再問い合わせやクレームの抑制にもつながります。

  • 教育コストの最適化

問い合わせ対応を効率化することで、オペレーター教育を重要な応対に集中させることができます。

その結果、育成ポイントが明確になり、新人教育やOJTにかかる工数削減につながります。

顧客側のメリット

  • たらい回しの削減

問い合わせ内容に応じた適切な窓口への導線が整っていないと、部署間の転送や再説明が発生しやすく、顧客に負担やストレスを感じさせてしまいます。

仕組みが整うことで、顧客は適切な情報や窓口にたどり着くことができ、スムーズに解決方法を見つけられます。

  • 自己解決率の向上

Web上のFAQや情報が顧客視点で整備されていれば、「問い合わせ前に解決できる」ケースが増えます。

結果として得られる変化

問い合わせ対応を効率化することで、重複する内容や顧客が自己解決できる問い合わせが自然に減少し、顧客満足度の向上と現場の安定運用の両立が可能となります。

問い合わせ対応を効率化するための基本ステップ

ステップ1|課題・目的・効果を整理する

問い合わせ対応の効率化を進める際、最初に取り組むべきなのが課題・目的・期待する効果の整理です。

これらが曖昧なままでは、その後の施策選定や効果測定がぶれてしまいます。まずは次の2つを整理しましょう。

  • 何を改善したいのか

対応時間の短縮か、オペレーターの負荷軽減か、応対品質のばらつき是正か。改善対象の明確化により、効率化の方向性が定まります。

  • どの問い合わせを抑えたいのか

ここで言う「抑える」とは、すべての問い合わせを対象にすることではありません。

同じような内容や、本来は顧客が自己解決可能な問い合わせなど、抑制対象を見極めることがポイントになります。

 

【よくある失敗と対策】

このステップでよく見られるのが、「問い合わせを減らすこと」そのものが目的になってしまうケースです。

件数だけを指標にしてしまうと、本来対応すべき問い合わせまで抑制してしまい、顧客満足度の低下や機会損失につながるおそれがあります。

 

目的と効果を整理する際は、以下のようなKPIを組み合わせて考えることで、効率化と顧客体験のバランスを取りやすくなります。

KPIの例

  • 問い合わせ件数

  • 電話件数

  • 一次解決率

  • AHT(Average Handling Time:平均処理時間)

  • 顧客満足度


AHTの基礎知識や改善方法については「AHT(平均処理時間)とは?改善は運用×業務×システムで考える」をご覧ください。


ステップ2|問い合わせが発生する原因を特定する

問い合わせ対応を効率化するためには、施策検討に進む前に、まず原因の特定が重要です。

問い合わせが発生する原因を理解しなければ、いくつ施策を実行しても根本的な改善にはつながりません。


【原因を整理する際に見るべき主な観点】

問い合わせ内容

どのような質問や要望が多いのか、繰り返されている内容は何か

発生チャネル

電話、Web、メールなど、どのチャネルから発生しているのか

顧客属性

どの顧客層、どの利用シーンで問い合わせが発生しているのか

これらを整理することで、「なぜこの問い合わせが発生しているのか」「どこに改善余地があるのか」が見えてきます。


しかし、多くの企業が直面するのは、データの取得・分析基盤が整っていないという課題です。チャネルごとに問い合わせ履歴が分散している場合や、通話内容が記録・可視化されていないケースでは、原因を特定しようにも材料が不足します。

感覚的な判断で改善を進めてしまい、効果が出ないまま施策が増えていくケースも少なくありません。

この「原因が見えない状態」を解消できるかどうかが、問い合わせ対応改善の分岐点になります。

ステップ3|問い合わせ対応を効率化する施策を選択・実行する

課題・目的・効果と原因を整理したうえで、具体的な施策(ツール含む)を検討するフェーズに進みます。問い合わせ対応の効率化につながる施策には以下のようなものがあります。

【代表的な施策】

FAQの改善

顧客が知りたい情報にスムーズにたどり着けるようにすることで、自己解決できる状況を増やし、オペレーターによる対応件数を抑えることができます。

チャットボットの導入

定型的な問い合わせや一次対応の自動化により、オペレーターが対応すべき問い合わせに集中できる環境をつくります。

IVRの最適化

問い合わせ内容に応じて適切な窓口や情報へ誘導することで、転送を減らし、応対効率と顧客体験の向上につながります。

Web導線・情報の整理

Web上の情報設計を見直すことで、問い合わせ前に解決できる導線を整え、顧客が自己解決できる環境を実現します。

*IVR(Interactive Voice Response:電話の自動音声応答システム)

チャットボットの概要や導入効果ついては「チャットボットはDX推進の第一歩――コールセンターの課題解決から始める、現場起点の業務デジタル化ガイド」で詳しく解説しています。


ここで重要なのは、施策はあくまで手段であるという考え方です。

課題に合わない選択は、

・自己解決率が上がらない

・現場の負荷がかえって増える

・顧客満足度が下がる

といった逆効果を招くこともあります。


目指すべきは、電話や問い合わせの「件数を減らす」ことではなく、問い合わせの発生や対応プロセスをコントロールできる状態をつくることです。

どの問い合わせを人が対応し、どこを自己解決に任せるのか。そのすみ分けができる状態になって初めて、効率化は持続的な成果につながります。

問い合わせ対応を効率化する際の注意点

問い合わせ対応の効率化は、進め方を誤ると、かえって顧客満足度や現場の負荷を悪化させてしまう可能性があります。
ここでは、多くの企業が陥りやすい注意点と、押さえておくべき考え方を整理します。

施策先行で進めてしまうリスク

効率化の取り組みでよく見られるのが、「問い合わせを減らしたい」「現場が回っていない」といった焦りから、施策(ツール含む)を先に決めてしまうケースです。

チャットボットやFAQ、IVRなどは有効な施策ですが、課題が整理されていない状態で導入すると、顧客が必要な情報にたどり着きにくくなり、かえって問い合わせが増えてしまう可能性があります。

 

【重要な考え方】

施策はあくまで手段です。「どの問い合わせを、どのように効率化するか」を明確にして施策を選定しましょう。

人的対応を一気に減らしてしまう危険性

効率化を急ぐあまり、人的対応を過度に減らしてしまうことも注意が必要です。

すべての問い合わせを顧客の自己解決に寄せてしまうと、

・顧客の疑問や懸念が十分に解消されない

・顧客の本質的な不満を企業側が把握できなくなる

・複雑な問い合わせが行き場を失う

・顧客からの意見や改善要望が増加する

といった問題が起きやすくなります。

 

問い合わせの中には、オペレーターが対応することで価値が生まれるものもあります。大切なのは、「顧客に自己解決してもらうべき問い合わせ」と「オペレーターが対応すべき問い合わせ」を切り分ける視点です。

 

【重要な考え方】

問い合わせ対応の効率化とは、問い合わせを一律に減らすことではなく、適切に振り分けることです。

定型的で自己解決可能な問い合わせは仕組みで受け止め、判断や説明が必要な問い合わせはオペレーターが丁寧に対応する。

この役割分担が明確になることで、オペレーターは本来の業務に集中でき、顧客も納得感を持って対応を受け入れ、結果として満足感の向上につながります。

そもそも分析できるデータが揃っていない

分析できるデータが揃っていない状態も問題です。代表的なのが、チャネルごとに問い合わせ履歴が分散しているケースです。電話、メール、Webフォーム、チャットなど、それぞれで管理方法や記録粒度が異なり、全体を横断して把握できない状態に陥っています。

電話での問い合わせ内容がブラックボックス化しているケースも多く見られます。件数や通話時間といった数値は把握できていても、「どんな質問が、なぜ発生しているのか」といった中身までは見えていないことが少なくありません。

この状態では、FAQを改善すべきなのか、IVRを見直すべきなのか、チャットボットが有効なのかといった判断ができず、施策が感覚的になってしまいます。

【重要な考え方】

このような状況を打開するために、最初に取り組むべきなのが、問い合わせ対応を分析できる基盤を整えることです。

 

チャネルを横断して問い合わせデータを集約し、

・どんな問い合わせが

・どのチャネルから

・どの顧客によって

発生しているのかを把握できる状態をつくることで、施策の議論が現実的になります。

岩崎通信機は「問い合わせ対応の効率化を“基盤づくり”から支援」します

問い合わせ対応の効率化には、改善に使えるデータを継続的に蓄積・活用できる基盤が欠かせません。

岩崎通信機は、ツールの導入ありきではなく、電話・Web・CRMをつなぎ、問い合わせ対応を継続的に改善できるコンタクトセンター基盤の構築を支援しています。

【岩崎通信機ができること】

  • 問い合わせデータの一元管理

電話・Web・メールなどの問い合わせデータを一元管理するお手伝いをいたします。

  • 改善に使えるデータの蓄積基盤の構築

問い合わせデータを総合して顧客の声を可視化し、効率化施策を検討・実行するサポートをいたします。


岩崎通信機が提供するコンタクトセンター基盤の詳細や、問い合わせ対応の効率化を支援する仕組みについては、サービスページ「コンタクトセンター構築」をご覧ください。


まとめ|問い合わせ対応の効率化は「基盤整備」から始まる

問い合わせ対応の効率化は、件数削減を目的とするものではなく、重複した内容や本来は顧客が自己解決できた問い合わせを抑えながらより価値のある顧客接点を活かす取り組みです。そのためには、施策を重ねる前に、問い合わせデータを可視化・分析できる基盤を整えることが欠かせません。基盤整備こそが、継続的な改善への第一歩です。

 

 

コンタクトセンターを“改善し続けられる組織”へ — システム刷新戦略ガイド

問い合わせ対応の効率化を進めるには、個別施策だけでなく、改善に使えるデータを蓄積・活用できる基盤づくりが欠かせません。

しかし、既存システムや分断された環境では、「どこを改善すべきか分からない」「施策が場当たり的になる」といった課題が生まれやすくなります。

そこで、コンタクトセンターの現状整理から基盤刷新の考え方までをまとめたホワイトペーパーを、無料でご覧いただけます。

 

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この記事を書いた人

 

 

藤井直樹

コールセンター業界で20年以上SEとして従事。
アナログ時代から今に至るまで現場に近い場所で技術の移り変わりを経験。
公共、金融業界、BPO業界の経験が豊富。

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