SIPコンセプトとオールインワンの拡張性が決め手「CIC」ベースに独自の付加価値サービス・システムを構築
ビー・エム・ダブリュー グループ 様

- 独自の付加価値サービスを実現するにあたり、拡張性の高いシステムが必要
- 音声とデータ双方のやり取りを実現した最適なコミュニケーションシステムを開発
導入の背景
導入背景と課題
ビー・エム・ダブリュー グループが、昨夏から開始した独自の付加価値サービス「BMWコネクテッド・ドライブ」。同サービスの利用ドライバー(顧客)とコンタクトセンターのオペレータをつなぎ、音声とデータの双方でのやり取りによる最適なコミュニケーションを実現。システムの構築を担当したのは、音声プラットフォーム「CIC」供給ベンダーのインタラクティブ・インテリジェンスと有力SIer 岩崎通信機だ。
ビー・エム・ダブリュー グループでは、顧客からのコールを国内にあるコンタクトセンター拠点で対応しているほか、東京・多摩の事務センター(ドキュメント管理など)、さらにオーストラリア(ローン、リースのバックオフィス)やドイツ本社など、海外拠点とネットワークで結び対応している。音声プラットフォームは、インタラクティブ・インテリジェンスのオールインワン型コンタクトセンターシステム「CIC(カスタマー・インタラクション・センター)」を用いている。
システムリプレイスにあたり、複数ベンダーから提案を受けた結果、将来的な拡張性を含め、規模や機能、そして価格面も合うインタラクティブ・インテリジェンスのCustomer Interaction Center(CIC)を採用しました。また、今回提案から導入、インテグレーションを担当したのは岩崎通信機です。
「センターの課題、予算など当社の状況を見据えたうえで必要な機能を過不足なく、それも自社製品にこだわらずに提案していただき、信頼できると感じました」(山田センター長)と、提案能力も大きな要素となりました。
導入の成果
独自の付加サービス「BMWコネクテッド・ドライブ」開始
ビー・エム・ダブリュー グループは、事故発生時の緊急通報やコンタクトセンターのオペレータによる走行エリア周辺の有人案内(レストラン情報など)を行う独自の付加価値サービス「BMWコネクテッド・ドライブ」の提供を昨年夏から開始。同年9月以降に生産・販売した全車種にこのサービス車載器を装備している。
同サービスに伴う顧客対応は、従来とはまったく別個の業務となるため、コンタクトセンター・システムについてもCICのほか2社のシステムを加え改めて選定した。そして、比較・検討の結果、やはりCICを採用することになったが、その理由をシステム担当者は次のように語る。
「SIPベースで構築することが第一の要件だったことが決め手でした。この点、CICはSIPにいち早く対応したシステムだったので問題なくクリアできました。また、初期コスト、導入期間、インタフェースの豊富さなどについても(他の2社に比べて)勝っていました。結果的にCICを採用しましたが、既存システムとの連携のしやすさやモジュール自体の柔軟性と拡張性など、トータルでみて良い選択だったと思っています」図1 「BMWコネクテッド・ドライブ」のサービスイメージ
SIPメッセージとHTTP情報をセンター側のPBXで結合
BMWコネクテッド・ドライブには、事故や路上故障の緊急時に対応する「スタンダード」(標準装備)と、コンタクトセンターのオペレータがドライバーの代わりに目的地や走行エリア内の各種情報などを検索して知らせる「プレミアム」(オプション)の2種類のサービスがある(図1参照)。
「事故車や走行中の車から送られるさまざまな情報に応じて、お客様(ドライバー)とオペレータをスムーズにつなぎ、的確な情報を迅速にお伝えしたいということが最大の要求でした。電話(音声)とデータ(ビー・エム・ダブリュー グループのWebからの検索情報など)の双方でのやり取りが必須で、しかも国内だけでなくドイツ本社など海外とのシステム連携も絡むため、従来のコールルーティングでは解決できませんでした。車載器からSIPメッセージに乗せられてくる情報と、ホストシステムからHTTP通信で送られてくる情報をコンタクトセンター側のPBX(CICプラットフォーム)で結合し、最適なオペレータを選定・着信させる仕組み作りが必要でした」(前出のシステム担当者)
この要求仕様にいち早く対応したのが、CICの有力SIerである岩崎通信機だった。さっそくインタラクティブ・インテリジェンスと共同で開発スキームを構築し、海外のエンジニアと共に開発を進めた。そして、ビー・エム・ダブリュー グループとのすり合わせや実車による走行試験などを経て、約半年という短期間でシステムを完成し、サービス開始に至った。
作り上げたシステムの構成は図2のとおり。日本国内を走るBMW車から発せられた情報は、3G網を使って海外拠点にあるPBX(Asteriskベース)とSIPで通信。本国のホストシステムとのHTTP通信を経て日本国内のデータセンターにあるPBX(CIC)を経由し、コンタクトセンターのオペレータの元へ届く仕組みだ。関連各国のシステムを有機的に連携することで、従来のコンタクトセンター・システム以上に高度なACD機能を実現している。
同サービスの対応ブースは当初15席でスタート。今後、BMW車の販売台数およびオプションサービス利用者が増えるのに伴い順次増席していく。音声とデータ双方のやり取りを実現した最適なコミュニケーションシステムが、ますます効力を発揮する。図2 システム構成イメージ
顧客情報
商号 | ビー・エム・ダブリュー グループ |
業務内容 | 乗用車、およびモーターサイクルの輸入・卸売・サービス、ならびに部品、アクセサリーの輸入・卸売 |